ヴァイツゼッカー演説の欺瞞

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「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となる」
この有名なセリフは、1985年5月8日、当時の西ドイツ大統領リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカーが「終戦40年記念演説」で語った言葉である。 この演説は世界中の人々に感動を与えたと言われている。 日本の所謂“進歩的文化人”は、この有名な演説を取り上げて、「ドイツは戦争責任を潔く認めて謝罪・賠償しているのに、日本は謝罪も賠償もせず、日本人として恥ずかしい」とよく言う。 これは所謂“進歩的文化人”の認識不足である。 戦後、ドイツは東西に分断された為、現在に至るも、講和条約は結ばれておらず、従って、ドイツは戦争賠償をしていない。 但し、ドイツはユダヤ人犠牲者および遺族に対する個人補償金を払った。 日本の所謂“進歩的文化人”は「戦争」と「ユダヤ人迫害」とを混同しているのである。「戦争」と「ユダヤ人迫害」とは互いに全く違う。 ドイツはユダヤ人と「戦争」したことはない。「ユダヤ人迫害」はナチス・ドイツが国家政策として計画的・組織的に実行した犯罪であり、戦闘による殺害ではない。「ユダヤ人迫害」は「戦争」とは別の次元で実行されたものである。 ドイツは「ユダヤ人迫害」については謝罪したが、「戦争」に関しては一言も謝罪していない。

ヴァイツゼッカーは「ナチスの犯罪はヒトラー個人の罪であって、ドイツ国民の罪ではない」という主張の持ち主である。 西尾幹二氏はヴァイツゼッカーの主張を「とかげのしっぽ切り」と形容している。 ナチスの罪を徹底的に追及されたら、その責任はドイツ国民全体に及ぶ。 なんとか、しっぽ切りで済ませて、本体を守ろうという必死の弁明なのである。 ヴァイツゼッカーは「あれはドイツ国民全体が負う責任ではなく、あの時代のナチスだけが負う責任だ」と言って、現在のドイツ国民全体に罪が被さってこないように詭弁を使って守ったのである。